神社仏閣巡り 滋賀県甲良町 西明寺 五色の紅葉のお寺 干支のお寺




 西明寺(さいみょうじ) 滋賀県犬上郡甲良町池寺にある天台宗の仏教寺院です。
 山号は龍応山(りゅうおうざん)本尊は薬師如来です。
 金剛輪寺、百済寺とともに「湖東三山」のひとつに数えられます。西国薬師四十九霊場第三十二番札所であります。

 名神高速、彦根ICと八日市ICの間にある湖東三山スマートICから国道307号線を直進3分で着きます。

 略縁起


 寺伝によりますと、平安時代の初期に当たる承和元年(834年)のある日、三修上人(慈勝上人)が、琵琶湖の西岸を歩いていると、琵琶湖の東方の彼方より、紫雲が現れまぶしい光が射しました。この雲や光を見た上人は「この光の源をたずねれば、きっとすばらしい霊地があるに違いない」との霊感に打たれました。

 そしてその光明を目指して湖東の山中に分け入ると、一筋の光明を放つ池があったのです。

 上人は「この清浄な霊地から湧き出づる泉を通しての光明は、何を暗示しているのでしょうか。どうかご教示願いたい」と池に向かって一心に祈念なされました。
 すると不思議なことに薬師如来の尊像が現れ、その後に日光菩薩、月光菩薩、続いて十二神将が現れました。
 三修上人に帰依していた仁明天皇はこの不思議な出来事を聞くと、この地に勅願寺としてお寺を造るよう命じられました。
 薬師如来が放った光が京都の宮中に向かって、西方を明るく照らした事で、「西明寺」と名付けられました。
 また寺のある場所の地名の「池寺」というのはこの伝説に基づいています。





 西明寺の五色の紅葉


 2016年の秋に訪れました。
 西明寺に着いたのが午前8時少し前。入場門の前の駐車場に停め、開門時間の8時になるのを待って入場します。
 紅葉は今が盛りで葉を赤や黄色に染めていました。

 昨日の雨が朝方にはやみ、晴天になりました。紅葉と庭の苔の緑のコントラストが鮮やかで、赤や黄色や緑がみずみずしく映えます。西明寺はこの色鮮やかさから五色の紅葉と呼ばれています。とても良い風情があります。


 本堂


 本堂は檜皮葺き鎌倉時代の和様建築です。国宝に指定されています。
 本堂に入ります。ご本尊の薬師瑠璃光如来は秘仏であり、住職一代に一度のみご開帳されるということであります。しかし、2014年に湖東三山スマートICの開通を記念して三山の秘仏を中開帳したということです。
 今回は写真のみで本尊の扉は閉められたままでありました。

 本堂では、お寺の係の人が懐中電灯を手に仏像の解説をしてくださいました。

 薬師如来像の横には日光・月光菩薩像がありますが右脇侍の月光菩薩様は修復のため京都にいっているそうです。(平成31年3月修理完了)鎌倉時代後期の作であります。お寺としても仏像を維持管理するのはたいへんなようです。(住友財団の一部助成にによるもの)

 日光・月光菩薩の外側には十二神将像が安置されています。この像はそれぞれの像の頭の上に干支の動物の彫り物をのせており、とても面白いものです。干支の彫り物が可愛らしく彫られています。
 この像のため西明寺は干支のお寺ともよばれています。

 係の人の解説がとてもわかりやすく口調も聞いていて気持ちの良いものでありました。

 親鸞上人像


 これらの仏像以外にも何点もの仏像があります。(国宝本堂後陣仏像群)
 どれも素晴らしいのですが、特に見ておきたいものは親鸞上人の像です。
 
 室町時代の作で、寺伝によりますと、上人が越後に流罪になった時に、この西明寺にお立ち寄りになられ、遺徳を偲んでこの像が作られたといわれています。
 越後という寒い地方へ流されたので、この御像は首に帽子(えりまき)をまき、手を衣の中に入れています。

 作家の五木寛之が、百寺巡礼の中で、おの御像について熱く語っていました。


 国宝 三重塔


 次は国宝の三重塔です。
 檜皮葺きの鎌倉時代後期の建築様式であります。
 一階部分から三階部分まであまり大きさが変わらず、四辺の角部が反った姿が均整がとれていて美しいです。 

 1,000円を払って内部拝観をします。(期間限定)中が狭く、鞄で建物を傷付ける恐れがあるということで、手荷物を入口で預けます。

 一階部の内部を拝観します。ここでは扉を開けて、一階の内部に入れてくれます。内部の須弥壇には慶派の手によると思われる金色の大日如来坐像があります。その周りは色あせてしまっていますが、極彩色の仏画が描かれています。それは、天井、扉、柱と、須弥壇と床以外は一面に仏画が描かれています。一部分のみ復元されているところがありました。それを見ると描かれた当時の色鮮やかな姿を思い起こすことができます。
 ここにもお寺の係の人が一人ついて説明をしてくれました。鎌倉時代に描かれたものを手の届く(触ってはいけません)間近で見れるのは貴重な体験です。

 織田信長の焼き討ちを免れる


 1571年9月に、織田信長が比叡山延暦寺を焼き討ちした時に、信長は同じ天台宗寺院の西明寺にも丹羽長秀らが率いる軍勢を差し向けました。その時、僧と農民が協力して坊舎を燃やし、全山が炎上したかのように見せかけて、本堂や、三重塔、二天門を守ったとの伝承があります。



 二天門と夫婦杉


 ここの山門は二天門で持国天と増長天が門を守っています。(多くのお寺が仁王門です)その手前には夫婦杉があり、家内と一緒に拝みました。

 まとめ


 宗教、建築物、仏像、紅葉(自然)、歴史、とどれを中心に見ても素晴らしいお寺です。
 何回も訪れる価値があると思います。


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