「罪の声」塩田武士 感想・読後レビュー テープの声の子供のその後




 「罪の声」は塩田武士 原作のサスペンス小説です。2016年講談社刊行です。グリコ森永事件をモチーフにしています。
 2016年週刊文春ミステリーベスト10国内部門1位、第7回山田風太郎賞受賞、2017年本屋大賞第3位、など数々の評価を受けています。

 2020年に小栗旬、星野源等のキャストで映画の公開が予定されています。

 本文中で、小説の内容について触れていますので、ネタバレに注意してください。

 グリコ森永事件


 この小説はグリコ森永事件という、1984(昭和59)年から1985(昭和60)年にかけて阪神を舞台に食品会社を標的とした一連の企業脅迫事件をモチーフにしています。

 その時、身代金等の受け渡し場所を指示した録音のテープに子供の声が使われていました。その子供の声が、残酷な事件とアンバランスで、人々の印象に残りました。

 その声のことを本の題名にしているようです。

 装画について


 この本は、まず、装画がとても印象的です。くすんだ地下通路を思わせる薄い土色の壁に、大人のドクロとそのドクロを見上げる人形を思わせる子供の像が浮かび上がっています。この絵はこの小説の内容を暗示しているかのようです。

 あらすじ


 テイラーの曽根俊也は自宅で一本のカセットテープをみつけます。そして、それが「ギン萬事件」で使われたテープの声と同じものだと気づきます。そして、それは俊也の幼いときの声だったのです。そこから、俊也は自分と「ギン萬事件」の関係を調べていきます。

 一方、大日新聞の文化部の阿久津英士は社会部の鳥居から、「ギン萬事件」について取材するように指示を受けます。

 二つの捜索が並列して描かれていきます。

 話が進んでいくと二人の取材が重なり合い、共同で事件の真相に迫っていきます。

 そして、クライマックスを迎えるのです。

 フィクションと現実


 フィクションと、実際の事件が混在して描かれており、どこに境目があるのかわからなくなります。
 しかし、実際の事件の衝撃性、ドラマ性、存在感をもとに、その謎解きをフィクションの中で、最大限に再現してみせたものであると思います。

 子供の声のその後


 テープには3人の子供の声が使われていました。その声の子供の31年たった、その後がこの小説の後半のテーマです。曽根俊也の平和さに比べ、あとの二人は悲惨なものでした。

 読後感も悲惨さにやりきれなさを覚えるものとなりました。

 実際のグリコ森永事件の事実をもっと知りたくなりました。

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