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第32期 竜王戦七番勝負 第二局 広瀬竜王対豊島名人 豊島名人の2連勝

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 第32期竜王戦七番勝負が2019年10月23日、24日に京都・仁和寺にて行われました。  豊島将之名人が126手で広瀬竜王を破り、2連勝となりました。  立会人は久保利明九段、副立会人は村山慈明七段。広瀬竜王の先手番で持ち時間は8時間です。  広瀬竜王と豊島名人  広瀬竜王は昨期、前竜王の羽生九段のタイトル100期のかかった七番勝負に勝ち、竜王位を奪取しています。  広瀬竜王は2連敗のあとに2連勝し、最終的には4勝3敗で勝ち抜きました。  豊島名人は、竜王戦1組4位で決勝トーナメントに進出して、1組優勝の渡辺明3冠を破り挑戦者決定三番勝負に進みました。  挑戦者決定三番勝負では木村一基九段(当時)を2勝1敗で破り、この七番勝負に臨んでいます。  豊島将之名人と木村一基九段(当時)は王位戦七番勝負でも戦いこちらは木村九段が4勝3敗で王位のタイトルを奪取しています。  タイトル戦では挑戦者が多く勝っている  最近の将棋のタイトル戦は挑戦者が勝つケースが多く、防衛するのが難しい傾向にあるようです。  第31期竜王戦 羽生善治竜王 挑戦者 広瀬章人が奪取  第68期王将戦 久保利明王将 挑戦者 渡辺明が奪取  第44期棋王戦 渡辺明棋王 挑戦者 広瀬章人 渡辺明が防衛  第4期叡王戦 高見泰地叡王 挑戦者 永瀬拓矢が奪取  第77期名人戦 佐藤天彦名人 挑戦者 豊島将之が奪取  第90期棋聖戦 豊島将之棋聖 挑戦者 渡辺明が奪取  第60期王位戦 豊島将之王位 挑戦者 木村一基が奪取  第67期王座戦 斉藤慎太郎王座 挑戦者 永瀬拓矢が奪取 と、なっています。  防衛に成功したのは渡辺明棋王のみです。  竜王名人への挑戦  今回、豊島名人が竜王を奪取すると、竜王名人となります。  過去に竜王名人のダブルタイトルを獲得したのは、   谷川浩司九段   羽生善治九段   森内俊之九段  の、3人しかいません。  4人目の竜王名人となるか注目されるところです。  両者の対局  豊島名人と広瀬竜王のこれまでの対局は16回あり、8勝8敗の5分となっていました。直近の対局は広瀬竜王が4勝1敗と勝ち越しています。  本対局  5手目、広瀬竜王が7八金と上がり戦型は相掛かりに確定しま

神社仏閣巡り 石山寺 西国三十三所 第13番札所 聖武天皇 勅願のお寺

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 主な概略  所在地 滋賀県大津市石山寺1−1−1  山号 石光山  宗派 東寺真言宗  寺格 大本山  本尊 如意輪観音  創建年 天平19年(747年)  開基 良弁、聖武天皇(勅願)  本山は瀬田川の西岸に位置する真言宗の大本山です。  『石山寺縁起絵巻』によれば、聖武天皇の発願により、天平19年(747年)、良弁が聖徳太子の念持仏であった如意輪観音をこの地に祀ったのがはじまりとされています。  御本尊について  石山寺の御本尊は木造如意輪観音半跏像です。本堂奥の巨大な厨子に納められています。像高は約3メートル。如意輪観音像は6臂像(6本の手をもつ)が多いですが、本像は2臂像で、岩盤(珪灰石けいかいせき)の上に薄い蓮華座を敷きその上に坐しています。  日本で唯一の勅封秘仏です。(勅封とは天皇の命(勅命)により封印されていること)  現在の御本尊は本堂の再建と同じ平安時代後期に造られた二代目で、初代の御本尊は天平時代まで遡る古いもので、全体が塑像で造られていたとされています。  御開帳について  御開帳は33年に一度か、天皇のご即位の時など、特別な時のみとされています。  最近では2016年3月18日から12月4日まで御開帳されていました。  御開扉の時は天皇の使者が訪れて、御本尊の封印がとかれるのだそうです。  令和の御開帳  今回、新天皇が即位されましたので、即位の翌年の2020年(令和2年)3月18日から6月30日まで、天皇陛下の即位を祝して御開帳されると2019年7月17日に発表がありました。  国宝 多宝塔  多宝塔は国宝に指定されています。  建久5年(1194年)建立で、年代が明らかで大規模な改修を行っていないものとしては、日本最古の塔であります。  源頼朝の寄進により建てられたものとされています。  内部には快慶作の大日如来像が安置されています。  天然記念物の珪灰石(けいかいせき)ごしに見上げる多宝塔の姿は迫力があります。    文学の寺院  紫式部が「源氏物語」の構想を得たのが石山寺とされています。  伝承では、寬弘元年(1004年)紫式部が当寺に参篭した際、八月十五夜の名月の晩に「須磨」「明石」の巻の発想を得たとされています。  「須

「色彩を持たない田崎つくると、彼の巡礼の年」 村上春樹 の感想・読後レビュー 共同体から切り離された個人の苦しみ

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 村上春樹が、ベストセラー長編小説「1Q84」の後に出版した13作目の長編小説になります。  理想的な共同体である、高校からの5人グループから、突然放り出された田崎つくるが、なぜそのようなことになったのかの真の理由を求めてそのメンバーのもとを巡り歩く物語です。  現代の人間が、それ以前の共同体的なものから切り離され、自立した個人を確立していく過程の苦悩を象徴しているものと思います。  このテーマは明治以降、夏目漱石の文学にも出てくる日本では普遍的なものであります。  この後の著述にはネタバレに関する内容を含んでいますので、注意してください。  容貌が変わるほどの苦しみ  田崎つくるは高校時代からの5人組と深く完璧な人間関係を築いていました。  つくる(作)以外の4人には、それぞれ色彩に対応する名前が付いていました。そして、5人の中には、それぞれの役割が付いていました。  青海悦夫(ミスターブルー)=脳天気なスポーツマン  赤松 慶(ミスターレッド)=インテリ   白根柚木(ミスホワイト)=可憐な乙女  黒埜恵理(ミスブラック)=コメディアン  色彩を持たない田崎つくるはハンサムボーイです。  つくるは突然そのグループから絶縁を言い渡されます。”まるで航行している船の甲板から、突然一人で夜の海に放り出されたみたい”に。  そのことで深く傷ついたつくるは、死について、自分を消滅させることについて真剣に思うようになりました。  その結果、つくるは体つきも顔つきも、まったく別人と思えるぐらいに変わってしまいます。  それは、ガンなどを宣告され、闘病の末にやせ衰えた姿で出てくる有名人を思い起こさせました。ある俳優がガンで死ぬ前にインタビューに応じていた姿はまさに容貌が変わってしまったという表現があてはまります。  5人と名古屋  彼ら5人は名古屋で生まれ育っています。その完璧なグループは名古屋市の郊外にある公立高校で作られました。  そのように閉じたグループで、仲間内で仲良く青春を送るという場所として、名古屋はふさわしい場所であったのでしょう。  名古屋は、”心地よい温もり”のあるところで、経済も、文化もほぼ名古屋圏で完結することができます。  村上春樹は”村上さんのところ”の中で  「この本を書いてい

世界を変えた10冊の本 池上彰 感想・読後レビュー 世界のニュースを見るときに知っておきたい本

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紹介されている資本論のマルクスの似顔絵  池上彰さんが「世界を変えた本」10冊を選んでその内容を分かりやすく解説した本です。  1   アンネの日記  2   聖書  3   コーラン  4   プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神  5   資本論  6   イスラーム原理主義の「道しるべ」  7   沈黙の春  8   種の起源  9   雇用、利子および貨幣の一般理論  10 資本主義と自由  という選定になっています。  池上彰氏について  池上彰氏はフリーのジャーナリストです。  1950年生まれ。慶応大学卒業後、NHKに記者として入社しました。NHKの「週刊こどもニュース」のお父さん役としてわかり易い解説で人気を博しました。  フリーに転身後は「そうだったのか!池上彰の学べるニュース」や、選挙特別番組「池上彰の選挙スペシャル」などの番組でキャスターをつとめて活躍しています。その一方、名城大学教授、東京工業大学特命教授など、多くの教授職を兼任しています。  「アンネの日記」  「世界を変えた10冊の本」は女性誌「CREA」で、毎月1冊ずつ、連載したものです。女性をターゲットにしているから、「アンネの日記」が一番はじめにきているのでしょう。  池上さんは「アンネの日記」があるから”アラブ諸国を除く国際社会がイスラエルの味方をするのだ”と解説しています。  思春期に、性に目覚めていくアンネと、ユダヤ人女性としての自覚に目覚めていくアンネと、2つの面に注目しています。  宗教の本「聖書」「コーラン」「イスラーム原理主義の道しるべ」  2000年代はテロの時代でした。それを読み解くためには、「聖書」「コーラン」に関する知識が欠かせないでしょう。  日本は西洋の影響を大きく受けているので、「聖書」に関する話は日常でも触れる機会が多いと思います。  旧約聖書、新約聖書の”旧約”、”新約”とは、古い契約、新しい契約の意味です。押さえておきたいポイントです。  対して、イスラム教の「コーラン」はアラビア語で書かれていることもあり、詳しく説明を受けてもよく分からない点が残ります。池上さんはコーランを穏やかな経典と説明しています。  イスラムだから紛争になるのではなく、紛争地帯に、たまた